パンチの独り言

(2008年12月8日〜12月14日)
(針小棒大、時流、老成円熟、明哲保身、identity、援助、新装備)



[独り言メインメニュー] [週ごと] [検索用] [最新号] [読んだ本]



12月14日(日)−新装備

 客商売は、それぞれに魅力を出さねばならない。他とは違う特徴を主張したり、長年続けたものを主張することもある。客の要求に応えることは容易ではなく、好き勝手なものほど取り上げにくい。それに対して、時流に乗ったものは多くの賛同を得られ、それをきっかけに新たな顧客の獲得となれば、しめたものだ。
 斬新な提案が続出すれば、そんなことは簡単に違いないが、現実はそうもいかない。逆に、他と比較され、後れをとったとなれば、失うものが大きいからだ。流行に敏感な人々ほど、新しいものに興味を抱き、それを根拠に選択することも多い。そんな社会では、様々なものに資金を投入することで、先頭を走ろうと努力することが必要となる。商売の種類にもよるのだろうが、たとえば宿泊場所を提供する商いでも、様々な工夫が見られる。洗面道具の充実を図るのもその一つで、最近は性差を意識した品揃えを主張するところもある。広くてゆったりとした空間の供給は一部の人々には好評だが、ただ泊まるだけの人たちには無用の長物と受け取られる。部屋数が収入額を決める要素の一つとなるから、その点での調整も微妙なものだろう。経費削減ととられることを避けつつ、目標を達成するために、環境保護を訴えるのも工夫の一つだろう。いずれにしても、滞在時間中に快適な時間を過ごせるかどうかが、人によっては最重要となるわけだから、これで十分ということはあり得ないだろう。テレビの放映局数も要素の一つと考えられているようで、地上波だけでなく、衛星放送の充実を誇るところもある。それに加えて、最近の大きな変化は、一般家庭も含めての地上波の仕組みの変化だろう。短縮形で言われることが多く、如何にも身近な存在となりつつあるが、現実にはどれ程の数が楽しんでいるのかは分からない。導入以前の人種にとっては、いい機会となるはずだが、その威力を発揮しているとはとても思えず、こんなもので全国民に負担を強いているのかと、呆れてしまった。これに限らず、新しいものが全て素晴らしいと受け取る向きには、常に疑いの視線を向けてしまうわけだが。

* * * * * * * *

12月13日(土)−援助

 景気の動向を探る術の中でも、人間心理のみに基づくものは興味深い。冷静に分析する人も居れば、噂に左右される人も居て、数字で表されたものの価値は、簡単には計れないが、それぞれに生活に密着した状況から出されたものだけに、無視することは難しい。受け取る側の心持ちにもよるわけだから、一概には片付けられない。
 様々な数値が示され、それを基に分析した結果が出されても、自分の考えと違えば、気にも留めずに捨て置く一方で、少しでも重なる部分が見つかれば、それだけを引き出すのは、解説における手法の一つだが、そういう篩を通した説明に、どう反応するかは個人の自由である。最近の傾向は、基となった数値よりも、解説の主旨にばかり注目が集まり、基盤の不確かな論説が流布されることで、個人の判断が入らない環境を作り出している。不況の状況を訴える声にも、様々なものがあるはずで、それについて個々に判断することは重要だろう。しかし、現状は大きくかけ離れ、ある筋書に沿った話の展開ばかりが流れ、外れたものは触れられもしない。輸出に頼る国の特徴として、これまで何度も指摘された問題も、今回は一部に偏ったものに脚色されて伝えられる。新興国の状況の悪化を伝える声が大きい割に、その国の中枢部が流す強気の発言は覆い隠される。人の判断のためには、様々な情報を手に入れる必要があるが、他人の意見を鵜呑みにする傾向が強まった結果、情報の流通の停滞が著しくなった。ネット情報の有用性の中に、種々雑多な、真偽不確かなものが含まれているという話もあったが、最近は大多数の統制された情報に、他の見解が埋もれてしまうようだ。不安の煽りは見逃される割に、他人の不幸を見逃さないのは何故か。人間性の問題と捉えるには、思惑の見え隠れが引っかかる。本当に窮地に追い込まれたら、町の居酒屋などは閑散としそうなものだが。

* * * * * * * *

12月12日(金)−identity

 学者と呼ばれる人々が常識に通じていると思う人は多い。だからこそ、有識者の意見を尊重し、委員会に専門家として招集するわけだ。しかし、前の話を眺めてみても、常識からかけ離れた、非常識極まる狂気の見解を、多くの学者が提出していることは明らかで、専門性の高さが必ずしも有用な見解を生むわけでないことがわかる。
 鎖国を廃止し、外からの移入を次々に進めていた頃、母語を捨てようとする動きがあった。論理性のない、下らない言語という見解を提出し、言葉までも輸入しようとした人々は、その言葉を商売の糧としていたのだから驚かされる。その騒ぎは沙汰止みとなったそうだが、舶来狂いの人種は現代社会でも生き延びており、何かというと最多国で使われている言語を引き合いに出す。それを習得させることが教育の課題であり、それさえ身に付けば、鬼に金棒と言い出しそうな勢いだ。現実には、言葉は道具に過ぎず、中身のない人間との会話や意見交換の無駄に辟易とする人たちは、こんな意見の非見識さ加減に呆れるばかりとなる。幼い頃からの教育が言語習得に重要として、初等教育への導入が図られ、現在進行形の実験が進められているが、成果を期待する声も上がらない。言語教育に携わる人々ほど、その必要性が何処にあるかを知らず、道具の使い方のみを教えようとする傾向にあり、釘の打ち方を知る大工に家が建てられるかどうかを考える気は毛頭無い。そんな非常識さに溢れる人々が、何処で暗躍したのかは知らないが、高等教育の場でそれを実践することで、外からの学生を誘い込もうとする作戦が進められている。その言語を母語とする人々にとって、極東の地でそれを仲介として新しいことを学ぶ重要性は殆どなく、母語としない人々には、更なる困難が待ちかまえている。確かに、先進国の中で通用しない言語は利用価値がないと言えるかもしれないが、だからといって、教育の現場でそれを使うことが無駄と考えるのは、狂気の沙汰としか思えない振る舞いだ。常識の欠如が著しくなった政治の世界から、苦言が出る可能性もなく、このまま暴走が続くとなれば、恐ろしいことではないか。

* * * * * * * *

12月11日(木)−明哲保身

 何故、と思わない日はない。確かに、批判的な目で見れば、少しの綻びも気になると思われるだろうが、現実には、大きな鉤裂きのような傷が世の中に満ち溢れているのだ。痘痕も靨とは、感情に勝るものはないということだろうが、肝心な問題には目もくれず、平穏な場所に波を起こすとは何と狂ったことなのだろう。
 評価の話が出てきた時、この国では通用しないと指摘する声があった。理由は簡単で、足を引っ張ることを常とする人々に、まともな評価は不可能ということだ。成る程と思ったのも束の間、尊敬の対象である国で採用される手法を導入することを目標とする人々に、一気に押し切られる形でいつの間にやら評価基準が定められた。彼の人の憂慮は現実となり、空っぽの評価が横行し、裏取引ばかりが流行する事態となり、一部ではそんな体制を元に戻したらしい。一時の馬鹿げた騒ぎは過ぎ去ったものの、一方にある足の引っ張り合いは残ったままとなる。状況が悪くなるに従い、自らの窮状を知られないためには、他に標的を掲げる必要から、次々に生け贄を差し出す傾向が強まる。歪みが蓄積した組織こそ、大改革が不可欠なのだが、多くの場合逆の力が働き、身動きがとれなくなる。殆ど例外なく、こんな経過を辿った組織は、疲弊の極みに陥り、構成員の多くは何の意欲も示さなくなる。他山の石と見れば、少しは違った展開もあっただろうが、その後の流れは皆同じとなってしまった。様々な組織で改革が試みられたものの、多くは表面に留まり、基盤からの変革は達成されなかった。これを世相の責任と見る向きもあるが、全ては構成員個人の問題に帰するのではないか。多くの人々が、身勝手な考え方に固執する世の中だから、世相の問題というのでは、責任の所在は永遠に明らかとならない。保身のための他者への攻撃は、自らの立場を失うだけでなく、悪影響を周囲に及ぼすことが大きな問題であり、周りにはそれを許さぬ姿勢が求められる。そんな混乱の中、また新たな問題が起きたのは、一大転換を呼び起こすことに繋がるのだろうか。

* * * * * * * *

12月10日(水)−老成円熟

 いつまでも年寄りが居座り、権力を握り続けていることを、老害などと揶揄することがあった。この国の判断基準の特徴だが、個々の例の違いを見ることなく、おしなべて良し悪しを決めようとする。現実には、誰がどのように運営を進めているかが問題であり、それが年齢の違いによるものでないのは明らかなのに。
 そう思って見回してみると、最近はその言葉を聞くことが無くなった。害が一掃されたと考える向きもあるだろうが、実際には、姿を変えた害が蔓延しているように見える。老人を排除するために、世代交代を迫った時代もあるが、この頃は、そんな必要もなく、若手の登用が目立つ。企業や組織の長における傾向が特に著しく、それを歓迎する声も大きい。それにより、雰囲気ががらりと変わり、新たな試みが採り入れられるから、変化を望む人々は歓迎するのが当然だろう。しかし、その変化は本質的なものを求めるものではなく、単に変えることを目標とするものだから、弊害を生むだけに終わるものが殆どとなる。そのことに対する認識も徐々に定着しつつあるけれど、実情は安心できるものではなく、未だに野放図な若返りが繰り返されている。身近な例を見渡してみても、この傾向が低下することはなく、更に悪化の一途を辿っているようにも見え、全般的な判断力が不足する人々への権力委譲は、舵をもたない船を作るようなものである。次々に繰り出される新機軸の多くは、単なる思いつきに過ぎず、冷静に見直せば、成果を期待できるものではない。そのような状態が明らかになりつつある中で、改めて年齢低下を止めようとする動きは、鈍く高まる兆しが見えない。確かに、ここまで変革が進んだ中で、時代に逆行するような動きは敬遠されるが、何が重要かを考えれば、この辺りで英断を下さないと修復不能な傷を残すことになりかねないのではないだろうか。

* * * * * * * *

12月9日(火)−時流

 毎日のように連呼されると徐々にその気になる。公共放送の本来の役割はそんなところにある筈もないが、最近はそんな気さえしてくる。政治経済、あらゆるものに口を出し、それによって誰かの立場を保とうとするのか、真意は明らかにはならないが、いずれにしても、五月蠅いほどの思惑に満ちた連呼は如何なものか。
 地に堕ちたというより、地中にでも潜ったかの如くの政治情勢は、既に全体が末期症状を呈しており、関心を惹くことも難しくなった。それに比べると、日々の生活に強く結びつく経済問題は、まだまだ興味を抱く対象であるらしい。それにしても、不況という言葉には何か別の響きがあるような気がしてならない。この国に住む人々の記憶の中には、少し前の弾け飛んだ経験が強く残っているだろう。それとの比較が有意義とは言わないまでも、このところの危機感を煽る論調には、何か別の意図を感じずにはいられない。当時の分不相応な振る舞いを反省する姿勢は全く感じられないのに対して、まるであの時の地獄が再来するかのような言動には、どんな意図が含まれているのだろうか。一人芝居に終わった例の狂乱は様々な意味で重要な経験となった。それに対して、今回の騒ぎはその片棒を担いだとはいえ、中心的な役割は先導者を自認する国の一部の人が果たし、暴走を繰り返した挙げ句の落とし穴といった感がある。その後の流れも、経済停滞に巻き込まれた国々の状況の悪化から始まった業績不振への繋がりから、如何にも厳しい状況にあるかのように伝えられるが、金融そのものへの影響は以前の落ち込みとは大きく違うのではないか。そんな視点からの意見が幾つか出てくれば、今回の変動に対しても、全く違った解釈が展開されると思うのだが、そんな雰囲気は微塵も感じられない。何度も強調しているので、そろそろ飽きてきたと読み手は思うだろうが、先行き不安を煽る意見が採り上げられる風潮には、何かあるのではないかと疑いたくなる。いずれにしても、集団による判断に期待ができない状況では、個人レベルで冷静に分析し、対応策を講じる必要がありそうだ。

* * * * * * * *

12月8日(月)−針小棒大

 楽観的な性格は好まれるが、悲観的な人間は嫌われる。にも拘わらず、ものの見方となると、悲観的なものを選ぶ人が多い。こんなことを書くと、反論が押し寄せそうだが、楽観的な見方を糾弾する人々の姿を見る限り、的を射ていると思える。悲観論を展開する限り、安全と見る向きが多いのは、別の理由があるのだろう。
 景気悪化が強調され、様々な情報が流されている。厳しい状況は、あらゆる所に現れており、坂道を転げ落ちるかの如く、止める手立てが見つからないとまで言い出す始末だ。そんな環境下では、少しでも明るい情報が待たれる中で、逆の情報を流すことが多くなる。その方が時流に乗っているという見方は、間違っているとは思えないが、明らかに誤った情報までもが流されるに至っては、無視する必要性を感じるところだ。こういう時期に、様々な調査を行うことは、人々の心の中を覗く為に重要なことだろう。政治に対する不信は敢えて書く必要がないほどの状態にあるが、経済状況となると、分析の仕方によって様相が異なってくる。たとえば、商品の売れ行きや生産の状況は明らかな悪化を示しても、雇用状況となると明らかな違いを示す。前者が今この時の状況を反映するのに対し、後者は将来的な見通しを表すものであり、特に、過去に何度か訪れた不況の際に、新たな採用を見送った企業の多くが、その後の展開で窮屈な状態に追い込まれたことから、たとえ悲観的な状態にあっても、将来計画においては違う見通しを考慮する必要があると見られているからだ。その辺りの背景を示し、調査結果を分析すれば、悲観的なシナリオを書くことは難しいが、今流されている情報の殆どは、自らが書いたシナリオに合わせた解釈が施してある。相変わらずと言ってしまえばそれまでだが、大袈裟な捉え方が好まれる世相では、こんな話の流れがいとも簡単に作られてしまうということなのだろう。

(since 2002/4/3)